Las Aletas Buleriadas

魚好きと釣り好きの狭間で。渓流と南の島のルアー釣りetc.

Bluefin trip 219春 初日 遠征の時期の選び方について

飛行機は夕方前に定刻より30分遅れて空港へ着いた。

空港まで迎えに来てくれた友人はこのあと別件があるのに長らく待たせてしまった。けれども好意で風裏のリーフまで送迎してもらうことになり、急いで車に乗せてもらう。

 

リーフの釣りは前々回のログに書いたように去年の秋以降していなかったから半年のブランクがある。もっとも冬の間は全然釣りをしなかったので海でルアーを投げるのも半年ぶりだ。渓流釣りとは違い東京から南西諸島までは飛行機料金の事情があったり、気象条件に合わせるために或る程度の日程を組まないといけないからコンスタントに通えるわけではない。最低でも4日間の休みは欲しい。なので実質そうした釣りが出来るのは年に2回、春と秋にしている。

特に南西諸島は梅雨入り前が比較的海が穏やかになる。冬の間は北西風に悩まされる。実際にカスミアジに狙いを絞ればトカラの例でいうと2月の終わりから良い型が狙えるようになる。3~4月になり大潮の最干潮が昼の潮周りに来る季節になればリーフから本格的に狙うことが出来る。

 

ゴールデンウィークを過ぎると南西諸島は梅雨入りする。今年の奄美大島の梅雨入りは5月14日だった。梅雨の間は海さえ荒れなければ昼間に干潮が来る潮周りでリーフの釣りが成立するのだが、欲を言えば晴れ渡った青い空の下で彗星のように青く輝くカスミアジを釣りたいのであまり気が乗らない。けれど天気ばかりはどの季節でも選べない。晴れ間が多くなるのは梅雨明けの後で、それから台風の季節になる。特にトカラの宝島では、梅雨明け後の海がベターーッと凪になることをメタレと呼ぶように、この時期のほんの数日間はあまりにも穏やかで美しい夏の始まりを感じることが出来る。

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なので晴れを求める釣り人であれば、梅雨入りの前と後のタイミングを狙って行けば比較的晴れの確率が高くなるのだがサラリーマンにとっては休みたいときに休めないのも実情だ。なので世間の流れに倣ってゴールデンウィークの釣りを選ぶことになるのだが、この時期の航空運賃が高いこと高い事。なので同僚からいくら白い目で見られようが仕事はちゃんと根回ししておいて連休の前日か2日前から有休をとって、連休が明けた翌日あたりに帰ってくるのが理想だ。有給3日間を付け足せば良いのであって、このご時勢、有休をとらなければ企業が罰せられるような風潮になったのだから、休みがとれるうちはなるべく長く方が良い。

夏は台風の時期なので特に海のウネリが心配事になる。南西諸島といえども盆を過ぎると涼しい風が吹くので、日差しによる熱中症の対策等(暑ければそのまま全身を海水に漬かればいい)をすれば、暑さによる体調不良は防げるが、ウネリが入ってしまっては釣りにならないし何より危険だ。特に小笠原方面、東から西にかけて接近してくる台風は厄介なもので台風が遠方にいても長い間ウネリが残る。

その台風がひと段落するのは10月の終わり頃か。この時期に連休があればまたそこに有休を絡めて長期休暇を取れるのだが、台風は11月でも発生するのでこの時期のオフィスワークは米軍の台風進路予報図(JTWC)GPV気象庁の台風情報ヨーロッパ中期予報センター(ecmwf)を見比べながらこまめにチェックして気を揉む日々を過ごすことになる。

それにしても年に2回だけのチャンスしかないし気象によっては遠征中止もあるから、10年やったとしてもこの旅ができるのは20回に満たないだろう。それを多いか少ないか思うのは人それぞれだけれど、西洋のバケーションの考え方のように一ヶ月とかの長期の休みをとって避暑地に行くとか海外旅行するとか、連続した休日が長くないと出来ないことがあるから日本の単発的な仕事の休み方はこの釣り旅には向いていない。祝日・三連休が散発的に分散されているところで、ただの気休めにしかならないし出来ることは限られている。なので有給をやりくりしながら、旅に出る前の下調べは入念にするようにしている。

 

東京を出て3時間余り。日没まで時間が無いうえ、潮位も39cmまで引く予定の割にはまだ潮が高い。久しぶりのリーフの釣りでもあるし初日ということもあり小さくても魚の顔が見られたら御の字くらいに考えてシンキングペンシルを投げる。まずは中古で買ったメロン屋工房のシンペン。シングルフックの2/0を付けてみたがアクションがどこかぎこちない。水をすり抜けてしまうアクションというか、むしろロッドワークやフォーリングで釣るのに向いているのだろう。フックをトレブルに替えれば水受けの抵抗が上がってアクションが改善させるかもれないけれど、今気持ちが急いでいるこの状況でスイムテイストをしている悠長な暇ない。

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使い慣れたUZUのウータンやキモパンに付け替えて狙い直す。

ジャーク、ただ巻き等アクションを変え立ち位置を変え1時間近く投げていると足元まで小型のカスミアジが鮮やかな水色の背中を見せながら追ってきた。食いそうな追い方だったけれども、惰性で追うような素振りも見せていたのでバイトさせる動機が入らないままルアーをピックアップしてしまった。次のキャストでもしかしたら食うかも・・と思ったけれども、チェイスはすれどさらに惰性な泳ぎになっている。これでは釣るのが難しくなってきたしもう見切られているかもしれない。

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とりあえず魚の反応は見れた。けれど時間がもう無い。肩慣らしなら別にいいかなと思いながらも、遠征は残り11日間あるのけど1日は1日に代わりのない貴重な日だと思うとやはり釣りたかったという気持ちがあるのも否めない。

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本数の少ないバス停まで1時間弱歩き、バスに乗り込み市街地へ向かった。

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バスの車窓から。貴島康男の島唄iphoneで聴きながら外を眺める。

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島唄好きなら知っているあの居酒屋に初めて入ることができた

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居酒屋の席に居合わせた唄者と、それを聴く恐らく地元の方がヨイスラ節を交互に唄う。席には豚足や魚のから揚げなど溢れんばかりの料理が用意され、黒糖焼酎が注がれる。

沁みる。涙が出るほど胸にじんとくる。

唄者で誰が一番好きか聞かれたら貴島康男と答える。今となってはもう生の唄声を公で聴こえないのかもしれない。けれども彼の唄を聴くたびにこの島の景色と風が心に蘇ってくる。

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翌朝。同世代で若手最強のショアGTアングラーの友人と共に違う島へ出発する。夜に降った雨はすっかり上がっていた。