Las Aletas Buleriadas

魚好きと釣り好きの狭間で。渓流と南の島のルアー釣りetc.

Snowbee DeepBlue "Tarpon Inshore" 実釣とインプレ

 2018年秋の釣行記

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かくして無事に届いたスノービーのターポンロッドを抱えて鹿児島から沖縄にかけての薩南の島々に飛んでみたのが昨年の秋。専用のオシャレなハードケースが付いているので、バックパックのサイドに括り付けてそのまま手荷物として追加料金なしで預けることが出来た。

 

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 K島に着き、風裏の波穏やかなリーフで試しに投げてみると、30gのペンシルが気持ちよく飛んでいく。竿が入る分、ルアーの重量が乗り易いのである。リールもシマノの12000番を付けていることもあり、ベイトリールを使っていた頃とは飛距離が雲泥の差だ。リアグリップは9フィートの竿にしてはやはり長い。肘から10cm近く出ているだろうか。大型魚とのファイトの時は楽になりそうだが、小~中型のルアーを操作する際は袖に引っかかって邪魔になりやすいし、そうした一瞬の引っ掛かりで肝心なタイミングでルアーを思うように操作できなくなることが往々にしてある。長いなりの扱い方があるのだろうけど、体が慣れるまで時間がかかりそうだ。

そんなことを思いながら何の気なしに投げて、水面近くをふらふらと岸から10m程度の距離を泳いでいる自作のシンペンにドッパーーーン!と黒い魚体がもんどり打って出てきた。ベタ凪の美しい水面だったので魚体が良く見えた。GTだ。目測15kgはありそうだ。

魚が水上で反転してルアーを咥えたまま、反動の力がついたこともあり魚の動きとシンクロするようにドラグが機械的な強い力で引きずり出されてゆく。立ち位置がリーフエッジから離れていたこともあり、ドラグのテンションは緩めにしたまま急いでリーフエッジに駆け寄る。水深は足元で5mもない。エッジに立ったときは魚は海底に潜っていたがどうやら根には入っていないようだ。ロッドテストということもあり完全にこちらが気を抜いていた(というか大体そういう時に限って食ってくるのだが)ので、初動に隙が出来てしまったがファーストランは止まった。そこからリフトしにかかる。が、ここで針が外れてしまった。久しぶりのショアGTのヒットだったので残念な気もしたが、気が緩んでいる時にあの派手なバイトを見れたので、その光景が一層印象深く脳裏に焼き付いた。

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夜な夜な銀箔を貼って仕上げた自作のシンペンはあのGTのワンバイトでボロッボロになった。リアフックが開いている。

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この後、友人と合流してポッパーで良い型のカスミアジをかけるもランディング時に針が伸びてフックアウトしてしまう。スノービーのこのロッドは3kg程度のサイズでもバッドから曲がり切ってしまう。というかリールシートから曲がっているんじゃないかというくらい曲がるし、遠目でヤリトリを見ていた友人も「竿めっちゃ曲がってる!」とびっくりしていた。竿が魚に負けているというわけではないが、それにしても良く曲がる。

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(カレントにはギンガメの子がいっぱい)

 

自分なりのリーフでのヤリトリの仕方は竿を曲げ切って魚にどんどんプレッシャーを掛けて巻き寄せるので竿は絞るように曲げるが、そのやり方で4ピースのこの竿が破断しなかった強さは認める。継ぎ数が多いとキャスト毎に緩んで、いつしかポーンとルアーと共にティップが飛んでいくことがあるのでそこは常に気を付けないといけないし、継ぎが甘い状態で魚が掛かろうものなら破断されるリスクが一気に高まる。

なのでフェルールワックスも使用するけれど、比較的重量のあるルアーを投げ回す釣りなのでリーダーの結びこぶがガイドに干渉するたびに継ぎは甘くなっていくし、10投に一回はキャスト後にルアーが飛行している最中とかに継ぎ目を込むようにしている。

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元来このロッドはターポン用だし、そもそも自分はターポン釣りをしたことがないので何とも言えないが、恐らく砂地のシャローエリアやフラットフィールドのようなストラクチャーの少ないエリアで曲げて獲る竿なのだろう。実際にターポンのビデオを見ると竜神のように跳ねるからそうした魚には竿を曲げて魚に追随させた方がバラシが少ないのだろう。

とはいえ、4ピースでありながらもハードリーフ(鋭いエッジをした根が複雑に入り組んだエリア)で中型のカスミアジを寄せられたことは事実だ。竿を絞り込めばこちらに主導権を持ったまま魚を浮かせることができた。もう少し大きなサイズだとどうなるのだろう。フィールドの条件次第だけど、目標10kgのカスミまではロッドパワーの他こちらの身のさばき方で何とかなるかもしれない。経験上、GTロッドならカスミアジは苦も無く寄せられるし、理想をいうならロッドの仕舞寸法は100cm以下でGTロッドクラスのバッドパワーがあった方が良い。その方が魚を早く寄せられるから元気にリリースさせることができる。

フィールドで道具に対する不安要素、つまり人間サイドでコントロールできような問題はなるべく打ち消して魚に臨んで行きたい。理想に近い竿が見つかった時点で、このスノービーのロッドはサブロッドになりそうだ。あるいは手荷物超過料金を払ってでも2ピースのGTロッドを持って行こうかな。悔いのない釣りをしたい。結局はその一言に尽きる。竿が弱かったから、あの時あの道具があれば・・のような言い訳がましい釣りはしたくないし、魚に対峙するにあたって失礼だと考えている。そうであれば、多少の出費は何の苦にもならない。

とりあえず半年後の次の遠征時にもう一度ロッドのテストだな、と思い秋の島を後にした。そして気付けばロッドは友人の車に置き忘れたままだった。